今回は、最近よく耳にする【因果推論】に関する書籍をまとめて現役データサイエンティストの私が紹介いたします。
どの書籍も、私が実際に勉強する際に役立った本or同僚が参考にしていた本なので、間違いなくオススメです!
タイトルだけ知りたい人向けまとめ
『因果推論の科学』出版:文藝春秋/著者:ジューディア・パール, ダナ・マッケンジー
『Pythonによる因果分析』出版:マイナビ出版/著者:小川雄太郎
『入門 統計的因果推論』出版:朝倉書店/著者:Judea Pearlら
『効果検証入門』出版:技術評論社/著者:安井翔太
『ローゼンバウム 統計的因果推論入門』出版:共立出版/著者:Paul R. Rosenbaum
『因果推論の科学』出版:文藝春秋
本書は因果推論の読み物系書籍です。縦書きです。因果推論で、しかもタイトルに科学まで入っていると、自然と横書きの技術書よりな中身を想像しますよね。
そういったこともあり、本書は、因果推論にちょっと興味あるけどまずはライトに内容や概要を理解したい人向けにぴったりです。
読み物ではあるのですが、扱っているなよう的に、どうしても数式などが避けられない箇所もあります。少し読みにくいですが、数式や記号などが出てきても縦書きを貫いています。読みにくいとはいえ、グラフや表などもしっかりと補足されていますので、最低限の読みやすさはあります。
加えてかなりボリューミーです。ページ数的には600ページ越えです。ビジネス書サイズなので持ち運びもサイズ的にはできると思いますが、通勤中などに読む厚さではないかなーという印象。読み物であり分厚いということもあり、電子書籍で読むほうがいいかもですね。(私は紙で買いました)
『Pythonによる因果分析』出版:マイナビ出版
本書の特徴は、「因果推論」に加えて「因果探索」も触れられていることです。しかもそれがPythonの実装ベースで展開されます。Python使いとしては非常にありがたい。
個人的には、本書のような実装ベースで理論を学ぶ系の書籍はかなり重宝しています。なぜなら実装して実行することで何をしていて、何を結果として出すかが非常に明確で、しかもそれがハンズオンで学べるからです。
内容としては、どちらかというとライトめです。やっぱりPythonでの実装がメインですからね。とは言え、「因果推論」と「因果探索」がPython実装ベースで展開できるのは非常にありがたいです。
実務で因果推論をしていきたい、しかもそれがPythonだ、という方にはうってつけの一冊かと思います。本書でサクッと実装ベースの理解を終え、こちらで紹介しているその他の理論中心の書籍を読み進めるというのがかなり有効なのではないでしょうか。
『入門 統計的因果推論』出版:朝倉書店
本書は、まずは統計学からおさらいしてくれる非常に親切な一冊です。さすが入門書として設計されていますね。
本書のキーワードは、「グラフィカルモデル」「介入効果」「反事実」などです。
数式の展開もしっかりしていることに加えて、グラフでの表現もあるので非常に理解しやすい内容となっています。
ボリュームは200ページ未満と少なめですが、この少なさが逆にとっつきやすさの証明でもあります。個人的には分厚い本を学び終わった後の開放感が結構好きですが、本書でも同じような開放感を得ることができました。
『効果検証入門』出版:技術評論社
本書の冒頭にあるように、本書は効果検証を実務で使う機会のあるエンジニアやデータサイエンティストを対象読者としています。加えて、本書の著者がデータ分析に興味を持ち始めた自分をイメージして書かれているというなんとも優しい設計!
実際に実務で効果検証を使用している駆け出しデータサイエンティストが、本書を片手に分析を行っているのを目にしています。
本書内のキーワードとして、「セクションバイアス」「ランダム化比較試験」「介入効果」「傾向スコア」「差分の差分法」「回帰不連続デザイン」などが主なものとなります。
回帰不連続デザインについては、本ブログでも簡単な解説をしてますので、ぜひご覧ください。
本書の特徴として、Rによる実装例が掲載されている点があります。若干見づらいというのはありますが、エンジニアやデータサイエンティストを想定読者としているだけあって、非常に親切ですね。
データサイエンスの現場でも参考にされている本書、非常におすすめです!
『ローゼンバウム 統計的因果推論入門』出版:共立出版
本書は、「因果推論とは何か」をある程度理解した後に、初学者から飛躍するために適した書籍です。結構な高額書籍なので、初手で本書を選んでしまうとちょっと後悔するかもしれないです。
とは言え、書かれている内容はしっかりしています。なにせ、統計的因果推論の代表的な研究者であるローゼンバウムさんによる書籍だから安心して良いと思います。
本書は、ランダム化実験と観察研究の二つの側面から統計的因果推論を論じています。特に研究よりな内容が多く書かれているため、すぐに仕事に直結するようなものというよりは、学生や研究職の方々にぴったりなのではないかと思っています。(私は研究職ではないので、あくまで推測です。)
入門書ということもあり、数式は抑えつつ、グラフや表などによる表現で、わかりやすさ重視で構成されています。
因果推論に少し触れた方が、さらに学問的側面も含めて自力にしてく、飛躍していくには非常におすすめの書籍です。
まとめ
以上となります。
今回紹介させていただいた書籍は
- 『因果推論の科学』
- 出版:文藝春秋
- 著者:ジューディア・パール
- おすすめ度:★★★★☆
- 『Pythonによる因果分析』
- 出版:マイナビ出版
- 著者:小川雄太郎
- おすすめ度:★★★★☆
- 『入門 統計的因果推論』
- 出版:朝倉書店
- 著者:Judea Pearl
- おすすめ度:★★★★☆
- 『効果検証入門』
- 出版:技術評論社
- 著者:安井翔太
- おすすめ度:★★★★★
- 『ローゼンバウム 統計的因果推論入門』
- 出版:共立出版
- 著者:Paul R. Rosenbaum
- おすすめ度:★★★☆☆
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