タイトル:僕はやっと認知症のことがわかった
出版社:KADOKAWA
著者:長谷川和夫
カテゴリー:医療
評価:★★★★★
目次
- 本書の概要
- 本書の感想
- 関連書籍など
本書の概要
本書の目次構成
- 第1章 認知症になったボク
- 第2章 認知症とは何か
- 第3章 認知症になってわかったこと
- 第4章 「長谷川式スケール」開発秘話
- 第5章 認知症の歴史
- 第6章 社会は、医療に何ができるか
- 第7章 日本人に伝えたい遺言
本書の概要
本書は、「認知症」の権威である、本書の著者、長谷川和夫さんが認知症へとなっていく段階で書き留めた一冊になります。
認知症を治療する立場の人間が、治療される立場の人間へと変わっていく過程で、より深い認知症への理解をすることができたと著者は言います。
最も印象的だった一節を引用いたします。
専門医であるボク自身、認知症はなったらそれはもう変わらない、不変的なものだと思っていました。これほどよくなったり、悪くなったりというグラデーションがあるとは、考えてもみなかった。だから、認知症といってもいろいろで、ボクのようなケースもあるということを、そして、いったんなってしまったら終わりではないということを、みなさんにぜひ知ってもらえたらと思います。
長谷川 和夫,猪熊 律子. ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.514-517). Kindle 版.
以上のように、著者も認知症の権威として「長谷川式スケール」などを開発したりもしたのですが、実際に認知症になってみて、本人も初めてわかることも多くあったようです。
認知症について、サポートしたことのある方も、そうでない方も、そんな本書をまずは手に取ってみることころから始めてみてはいかがでしょうか。
具体的にこうすれば良いと言うようなことを書いてあるわけではありませんが、「知る」と言う意味では、かなりおすすめの一冊です。
本書の感想
本書の感想は、なんというか…
通勤中に本書を読んでいたのですが、読むのに夢中になってサクサク読めたこともありますが、サクサク読むことができた最大の要因は、なんとも引き込まれる優しい文体で包み隠さず話してくれる文章だったからです。
私の親族には、幸いにも認知症で苦しい思いをした方はいなかったのです。しかし、仲の良い友人から祖父母が認知症で大変な思いをしているという家族の話を聞いていると、本書を読んで、「まずは知ることが出来た」と考えられるようになりました。
しかし実際に、認知症のサポートをすることはきっと私が想像するよりももっと大変なのでしょう。そのサポートを受ける認知症の方もきっと苦しい思いをしているでしょう。
改めて本書の感想ですが、書きながら気持ちを整理してみると思うことは…とにかく、「心が動かされた」と言う感覚でしょうか。
電車の中で、ここまでグッと涙を堪えたことは今までなかったので、非常に心を動かされたんだと思います。
表現はきっと良くないと思うのですが、認知症にここまで偉大な貢献をした長谷川先生が、図らずも実際に認知症となり、こう言った書籍を遺してくれている、これがもう奇跡なようですごくありがたく感じてしまう。
そんな一冊です。
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