書評『LISTEN 知性豊かで創造力がある人になれる』著:ケイト・マーフィ/日経BP

LISTEN 知性豊かで創造力がある人になる 教養

LISTEN 知性豊かで創造力がある人になれる

出版社:日経BP
著者:ケイト・マーフィ
カテゴリー:教養
評価:★★☆

目次

  • 本書の概要
  • 本書の感想
  • 関連書籍など

本書の概要

本書の目次構成

  • chapter 1 「聞くこと」は忘れられている
  • chapter 2 私たちは、きちんと話を聞いてもらえた経験が少ない
  • chapter 3 聞くことが人生をおもしろくし、自分自身もおもしろい人物にする
  • chapter 4 親しい人との仲のレッテルからも「聞くこと」が守ってくれる
  • chapter 5 「空気が読めない」とはそもそも何が起こっているのか
  • chapter 6 「会話」には我慢という技術がいる
  • chapter 7 反対意見を聞くことは「相手の言うことを聞かなければならない」ことではない
  • chapter 8 ビッグヒットは消費者の声を「聴く」ことから生まれる
  • chapter 9 チームワークは、話をコントロールしたいという思いを手放したところにやってくる
  • chapter 10 話にだまされる人、だまされない人
  • chapter 11 他人とする会話は、自分の内なる声に影響する
  • chapter 12 「アドバイスをしよう」と思って聞くと失敗する
  • chapter 13 騒音は孤独のはじまり
  • chapter 14 スマートフォンに依存させればさせるほど、企業は儲かる
  • chapter 15 「間」をいとわない人は、より多くの情報を引き出す
  • chapter 16 人間関係を破綻させるもっとも多い原因は相手の話を聞かないこと
  • chapter 17 だれの話を「聴く」かは自分で決められる
  • chapter 18 「聴くこと」は学こと

本書の概要

本書は、「聞くこと」にフォーカスを当てた書籍になります。約500ページにもなるかなり厚めの書籍ですが、翻訳書籍とは思えないような読みやすい日本語で書かれていたので、スラーっと読み終えることができました。

外国の書籍の特徴でもある、「出典元の明記」も多くあり、調べ尽くして書籍を書かれていることが伺えます。海外の方の書籍は、こう言うところが個人的には好きです。流石に一つ一つに目を通すことはできないですが、日本人の著者の方でここまでやられている方は非常に少ないように感じます。
良かったなーと思った本の参照として、自分の好きな・良いと思っている本が書かれていると嬉しいですよね?これを味わいたいです!w

さて、概要なのですが、さまざまな論点から「聴く」ことに関して言及しているため、個人的に印象に残っている部分をピックアップいたします。

 よく「聴く」とは、相手の頭と心の中で何が起きているのかをわかろうとすること。そして「あなたを気にかけているよ」と行動で示すことです。

 自分の考え、感情、意図を持った一人の人として理解され、価値あるものとして大切にされるーーそれこそが、私たち誰もが切望することです。

(中略)

 このように誰かに知ってもらい、受け入れてもらわないと、自分には価値がないとか、むなしいといった感情になってしまいます。

 人生において孤独を一番抱かせる原因は、必ずしも、心に傷が残るようなつらい出来事ではありません。孤独を感じるのは、何か良いことが起こったかもしれないのに何も起きなかったーーという状況が積もり積もったことが原因になることが多いのです。

 誰かの話を聞かなかった、誰かが話を聞いてくれなかった、人と繋がる機会を逃した。そういう状況が度重なることです。

本書p.86/p.87より抜粋

 実は私たちの誰もが、愛する人に関しては思いこみをする傾向にあります。これは「近接コミュニケーション・バイアス」と呼ばれています。

 親密であることやお互いを深く知っていることはすばらしいのですが、そのため自己満足してしまい、自分にもっとも近い人たちの気持ちを読み取る能力を過信するという間違いを犯してしまうのです。

p.118より抜粋

 自分のことを話すばかりでは、自分の知識に新しいものは何も加わりません。

p.159より抜粋

 あなたができる最善策は、相手の話にただ耳を傾けることです。

 その人が直面しているのが何かを理解しようとし、その感覚を感じ取ってください。それ自体が解決につながる可能性もあります。

p.314より抜粋

 人が言った言葉を振り返ってじっくり考えるということは、あなたの心の中に、その人の考えや感情の居場所ができるということです。

 これは、聞くことが「おもてなし」のひとつの形であるという考えの延長線上にあるものですね。あなたは、その人を自分の意識の中へと招き入れているのです。

 そして、記憶に残る会話は、あなたにとって大切な意味を持ちます。

p.452より抜粋

その他にも、かなりラインを引かせていただきました。中でも印象に残っていた、上記5ついかがでしたでしょうか。

ここら辺の記述が、本書の概要といっても過言ではないような引用であると考えています。

本書の感想

本書の感想です。

かなり勉強になりました。以下、読了直後のツイートです。

とにかく「聴く」というスタンスは、人間関係において非常に有効であることがわかりました。「あなたに注意を向けている、関心を持っているよ」という姿勢を見せることができるから。

これを行うことで、確実に余計な夫婦喧嘩を減らせると考えてのツイートですw

惜しかった点としては、良さとしても挙げているのですが、外国人の書籍というところ。

「ちょっとこの部分の話は、日本人の特性的に全く当てはまらなさそう」という印象を持った箇所も所々散見されました。

私の推測ですが、本書の著者はアメリカに拠点をおいて活動されていることもあり、アメリカの「分断」が盛んに叫ばれていたりした背景があるのではないかなと推測しています。
そういった背景も踏まえて途中から読んでみると、わりとすんなりと受け入れて読むことができました。

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