書評:『多モデル思考』著:スコット・E・ペイジ/森北出版

多モデル思考 技術書

多モデル思考

出版社:森北出版
著者:スコット・E・ペイジ
カテゴリー:技術書
評価:
★☆

目次

  • 本書の概要
  • 本書の感想
  • 関連書籍など

本書の概要

本書の目次構成

  • 第1章 多くモデルで考える人
  • 第2章 なぜ多モデルなのか
  • 第3章 多モデルの科学
  • 第4章 人間の行動のモデリング
  • 第5章 正規分布:ベル型曲線
  • 第6章 べき乗則分布:ロングテール
  • 第7章 線形モデル
  • 第8章 凹関数と凸関数
  • 第9章 価値と力のモデル
  • 第10章 ネットワークモデル
  • 第11章 ブロードキャスト、拡散、感染
  • 第12章 エントロピー:不確実性のモデリング
  • 第13章 ランダムウォーク
  • 第14章 経路依存性
  • 第15章 局所相互作用モデル
  • 第16章 リアプノフ関数と均衡
  • 第17章 マルコフモデル
  • 第18章 システムダイナミクスモデル
  • 第19章 フィードバックをともなうしきい値モデル
  • 第20章 空間/ヘドニック競走モデル
  • 第21章 ゲーム理論の3つのモデル
  • 第22章 協力モデル
  • 第23章 集団行動問題
  • 第24章 メカニズムデザイン
  • 第25章 シグナリングモデル
  • 第26章 学習モデル
  • 第27章 多腕バンディット問題
  • 第28章 起伏地形モデル
  • 第29章 オピオイド、不平等、謙虚な姿勢

長い…長すぎる…っ!!

本書の概要

本書の著者は、「モデルは人を賢くする、しかしモデルは一定の範囲のみに対して正しく、多くの側面で正しくない。だから多くの側面を多くのモデルで評価する必要がある」と考えています。私はこの考えに賛同しています。

話は飛躍しますが、ある事象の発生原因を特定するような場合、その要因となる事項について議論したとします。
ある人は「Aが起きているから問題が発生している」、他の人は「いや、主たる原因はBだ。Aはその副次的事象に過ぎない」など議論しています。
なぜ議論が分かれてしまったのでしょうか。本書の著者、スコットさんの考え方をもとにすると、ある人はaというアプローチで原因を探ったためAが原因と推測した。他の人はbというアプローチで原因を探ったためBが原因と推測した。どちらもそのアプローチに不備はなかったとすると、「両方正しい」が、一方で、片方の視点に立つと自らと異なる結果を示すという点において、「他者の結果は正しくない」という考え方もこれまた正しい。

ここまで来れば、話の結論としてわかりますよね。本章の冒頭「モデルは人を賢くする、しかしモデルは一定の範囲のみに対して正しく、多くの側面で正しくない。だから多くの側面を多くのモデルで評価する必要がある」ここに戻ってくるわけです。

この視点の元、本書は、24もの数理モデルの基本的な考え方や使い方などを紹介して、事象に対してより深い理解、洞察を生むためのリファレンスとして役に立ちます。

通読して、読破するような書籍ではありません。しかし、もしあなたが数理モデルを使うような立場で、まだまだ数理モデルの世界に片足突っ込んだくらいの方であるなら、知見を広げる意味で非常に役に立つ一冊であると思います。

本書の感想

本書の感想は、「とにかくボリュームが多い!!」でした。

私自身、本書を精読まではしておりませんが、日々の業務の中でどんなアプローチ(モデル)が使えるか、参考にできる部分があるかをパラパラみながら参照しています。
最近では、どのモデルがどんな場合に有効なアプローチなのかなんとなくわかってきたので、ピンポイントで参考しています。

本書は、多少パッとみただけではちょっとわかりにくい数式による説明もされていますが、基本的には図や文章を用いて説明がされています。具体例などもあり、「まずはモデルの表面を理解する」という点において非常に有効であると考えています。そういった意味では、数理モデルの引き出しを作る上では、良書であることには間違いないと思います。

データサイエンティストと言っても、業務によってはさまざまな分野で活躍が期待されている職種であり、分野によっては数理モデルを使わずともデータサイエンスを有効に使うことも可能です。
そう言った意味では、本書の内容を完璧にすることはデータサイエンティストとして必ずしも求められることではないと思います。しかし、データサイエンティストはあらゆる引き出しを持つことは絶対にマイナスにならないと考えていますので、とにかく本書の内容をまずは舐め回して、次に噛み砕き、そして引き出しにいつでも使えるようにする、というような、何周もするテキストかなあと思いました。

1周するだけでも頭がクラクラしてしまうような本書ではありますが、ぜひ手元において欲しい一冊です!

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